レポート

【手話マップ・レポート vol.11】美術館の新型コロナウイルス感染防止対策について

はじまりの美術館/ 福島県

レポート詳細 投稿日:2020年07月18日

梅雨前線が未だに停滞し、各地で豪雨被災が相次いでいます。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、罹災された方々へお見舞い申し上げます。

さて、新型コロナウイルス感染防止の都道府県境をまたぐ移動の自粛が解除されてまもなく1ヶ月になろうとしています。その間に各地の美術館の再開が相次ぎ、実物のアートに触れることもできるようになってきているのは大変喜ばしいことです。
しかしながら、その美術館への入館に当たってコロナ禍以前にはなかった制限や対策がとられていること、また美術館スタッフ全員がマスク着用していることもあり、聞こえない人たちにとって美術館へのアプローチが不便にかつハードルが高く感じられることも否めません。
聞こえない人にとって戸惑いや無用の事故を未然に防ぐたためにも、下記ポイントにご留意いただければと思います。
(下記事項や例示の美術館は手話マップで独自に調査、編集したものです。)

★★★聞こえない人へ★★★
<美術館訪問前に>
1-時間予約制
入館者を制限するために、ネットで時間予約を求める美術館があります。
そこでは、障碍者でも予約必須のところ(例:京都市京セラ美術館)もあれば、時間予約制ですが身障者手帳を掲示すると予約不要で入館できるところ(例:東京国立近代美術館、国立西洋美術館)もあります。
これについては、美術館に行く前に必ずその美術館のホームページをチェックしてください。
2-オンラインチケット
美術館の窓口でチケットを販売しない代わり、ネットまたはコンビにで事前にチケットを購入を求める美術館があります。(例:東京ステーションギャラリーのチケットはローソンのみ販売)
身障者手帳保持者で本来は入館料が無料になる障碍者についても、ゼロ円のオンラインチケットを入手を求める美術館もあります。(例:アーティゾン美術館)
これについても、その美術館のホームページをチェックしてください。

<美術館入館時に>
3ーマスク着用
美術館では必ずマスクを着用して下さい。もちろん、鑑賞中でもマスク着用を求められています。
美術館の入口でスタッフが観客のマスクの着用をチェックし、着用しない観客にマスク着用を求めるところもあります。(例:東京都現代美術館)
4-検温
サーモグラフィーカメラとハンドヘルドポータブル(手に持つもの)の2つのタイプがあります。
前者には性能にばらつきがあるようで、停止線で立ち止まって計るところ(例:東京国立博物館)もあれば気づかぬままスルーするところ(例:パナソニック汐留ミュージアム)もあります。
一方、後者のハンドヘルドポータブルによる検温では、おでこ、手首(脈を計るところ)のどちらかで検温されます。
ここで厄介なのは検温のスタッフがマスクを着用しているので、「大丈夫です」「どうぞ」と言われてもわかりません。が、何もアクションを起こされたりしなければ無事にパスしたと思ってよいかと思います。
5-手指の消毒
今では美術館を問わずどこも入口に必ず消毒液がおかれています。
美術館によっては、消毒液のそばに立つスタッフに促されて消毒するところもあれば、スタッフが消毒液をもっていちいち来館客の手に噴霧するところもあります。
必ず手に消毒液をつけるようにしてください。
6-連絡先の記入
美術館内でコロナ感染が発生した時に接触者の追跡が可能になるように、連絡先の記入を求められるところがあります。(例:兵庫県立美術館)
ただ東京都内では、一部の美術館(例:三井記念美術館)以外、ほとんどの美術館で連絡先の記入を求められていません。
それは美術館や地域によっては実施の有無はまちまちで、例えば京都市では公立私立の区別なく市内のすべての美術館で連絡先の記入を求められます。(例:京都府文化博物館、細見美術館)

<館内にて>
7-ソーシャルディスタンス
チケット購入やミュージアムショップ、館内食堂などでは、ほとんどがソーシャルディスタンスを求めています。大抵、床に立ち位置を示すレッテルが貼られていますので、足元にお気をつければ無難です。
特にエレベーターは要注意です。乗車人数の制限があるばかりでなく、エレベーター内にも立ち位置のレッテルが貼られているところもあります。(例:アーティゾン美術館)
その他、入館口を1ヶ所に絞ったり館内通路を一方通行にしたりして動線を簡素化するところもありますので、ご注意ください。(例:東京国立博物館、東京都写真美術館)
8-チケットのセルフもぎり
ごく少数のケースですが、入場にあたってスタッフの目前でチケットを自分でもぎり、指定の箱へ投入を求められるところもあります。(例:千葉市美術館の常設展)

<その他>
9-新型コロナウイルス感染防止アプリ
訪問した美術館で新型コロナウイルス感染が発生した時に、美術館の訪問履歴に基づき利用者に迅速に感染情報を通知するアプリが紹介されています。現在のところ確認できているのは宮城県と東京都のみです。
①宮城県 【みやぎお知らせコロナアプリ(MICA)】
https://www.pref.miyagi.jp/…/miyagi-info-corona.html
②東京都 【東京版新型コロナ見守りサービス】
https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/ict/mimamori.html
各地の美術館によっては対応がまちまちですし、現在全国的に感染者が再び増えつつありますので、美術館の臨時休館なども含めて、まえもってその美術館のホームページをチェックすることをお勧めします。
美術館に入っても、マスク着用、検温、手の消毒、連絡先の記入など、上記1~9のいずれかを求められることを心しておいて頂ければ無難でしょう。

★★★美術館スタッフの皆様へお願い★★★
いつもお世話になっております。
コロナ禍最中も自粛解除以降も、例年とは異なる勤務スタイル、生活スタイルに大変ご苦労されていることと思います。また、美術館の再開にあたってはコロナウイルス感染防止に格別に気を使って頂いて、まことに痛み入ります。
ところで1つだけお願いがございます。
美術館スタッフがマスクを着用したまま話しかけても、耳が聞こえない人たちにとっては何を言っているのかわからないばかりでなく、自分に話しかけてくることに気づかない場合もありえます。
それで、検温、手の消毒、連絡先の記入などのコロナ感染防止対策スポットに、それを知らせる貼り紙をお貼り頂ければ、耳が聞こえない人でもスムーズに感染防止に協力頂けると思います。簡単でも手書きでも結構です。
福島県猪苗代町の「はじまりの美術館」では、受付に来訪者にコロナ対策の協力をお願いするパネルを据え付けている他、当館のホームページにも動画を載せています。
https://hajimari-ac.com/news/detail/12246/
それらが視覚的にわかりやすくて、聞こえない人でもスムーズにコロナ対策に協力できると思います。ご参考になれば幸いです。
(画像ははじまりの美術館の大政学芸員よりご提供頂いたものです。)
各地の美術館において、特に聞こえない人たちの来館時にお願いすべき事項、伝えたい事項がございましたら、この投稿のコメントに書き込んで頂きますとありがたいです。
もしもご不明な点がございましたら「手話マップ」にご相談ください。

関連

ピックアップ