展覧会「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル —— ハイジュエリーが語るアール・デコ」の開催を記念し、〈レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校〉の講師によるトークプログラムを開催します。
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【アール・デコ期のジュエリー特有の素材:伝統と革新】
アール・デコは一目でわかるスタイルです。幾何学的な形、黒、白、緑といった色使い、そして何よりもデザインの革新性と、貴重で独創的な素材の活用を特徴としています。
1925年に花開いたアール・デコ様式は、それ以前の数十年の流れを汲み、その時代のジュエリーで多用された貴重な素材をふんだんに用いています。ダイヤモンド、ルビー、エメラルドなどの宝石が貴金属にあしらわれ、特にプラチナは再評価されて、ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出す理想的な素材となりました。その造形は、花束など過去のモチーフを想起させると同時に、東洋の漆の使用など異文化との創造的な結びつきも見られます。
アール・デコには常に「モダン」が息づいています。それは天然素材だけでなく、合成素材など革新的な素材の導入によってもたらされました。例えば、ベークライトの使用は、ジュエリーの世界に新たな価値観をもたらしました。こうした素材は、工業技術の進歩を反映しています。
そして、アール・デコが今日のような地位を確立できたのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてパリ(そして世界)を席巻した「真珠ブーム」があったからに他なりません。真珠はネックレスとして首元を飾り、化粧道具入れやバッグ、衣服など、あらゆるものにあしらわれました。黒と白を基調としたアール・デコの美学において、真珠は最も貴重な素材となったのです。
企画協力:レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校
画像:ループ ブローチ/1919年/プラチナ、エメラルド、オニキス、ダイヤモンド/ヴァン クリーフ&アーペル コレクション ©Van Cleef & Arpels