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【手話マップ・レポート vol.7】ミュージアムシリーズ-1 東京都写真美術館(その2)

東京都写真美術館/ 東京都

レポート詳細 投稿日:2020年06月13日

みなさま、こんにちは。手話マップです。 本格的な梅雨となってまいりました。 前週、東京都写真美術館についてご紹介いたしましたが、より細かい内容についてレポートいたします。

略称「TOP」で親しまれる東京都写真美術館は、地下1階、2階、3階に展示室があり、写真や映像に関する、3つの展覧会が同時に楽しめる贅沢な美術館です。
3階では毎年テーマを変えてTOP所蔵品を紹介する「TOPコレクション展」シリーズを楽しめます。特定のテーマの下、35000点ものコレクションから時代や国、技法、作家の老若男女をこえて選ばれた様々な写真作品の組み合わせが写真作品以上にストーリー性の豊かな展覧会になっています。

そして定期的に開催されるギャラリートークで学芸員のトークがそのストーリーをさらに深めてくれます。ありがたいことに、前週にお話しした手話通訳がそのギャラリートークの何回かにつきます。事前申込みも予約も一切不要です。おかげで「写真」をアートとして鑑賞できることの楽しさ、面白さにたびたび気づかされています。
その手話通訳ですが、2階の企画展においてもギャラリートークや作家本人のトークに手話通訳がつくこともあり、作家や時代的背景への理解をより深めることができます。

TOPでは去年度より手話通訳の年間スケジュール、通訳者の氏名をも含めた案内チラシを作成し、館内のみならず都内の各地のミュージアムにも置いていました。手話通訳がつくイベントごとにホームページで告知するパターンが主流の中で、ミュージアムを訪れる人の目にとまりやすいチラシをあえて作成するTOPの戦略は実に画期的なことです。(TOPのホームページにも手話通訳の告知があります。)
去年は耳の聞こえない写真家が企画展に取り上げられたこともあり、手話通訳つきギャラリートークへの耳の聞こえない方々のリピーターが増えてきた感があります。(耳の聞こえない方については、手話を主要なコミュニケーション方法とするろう者だけでなく、難聴者、中途失聴者などを含めて表現しています)

もうひとつ、TOPでは「モノクロ銀塩プリントワークショップ」という体験型プログラムを定期的に実施しています。館内の引き伸ばし機や流しが揃った暗室で、ネガから印画紙に焼き付け、流しで薬品を洗い落とす、リアルな現像作業を体験するものです。そこにも手話通訳がつきます。ただし、暗室の性質や作業工程の多さから、耳の聞こえない参加者1名に手話通訳者1名がつく丁寧さ。それによって、「写真」というのはカメラから作り出されるものでなくて、露光時間、コントラストなどを手作業で調整することを学び、写真表現をコントロールできる醍醐味を味わうことができました。ちなみに暗室では赤いセーフライトが点灯しているので、手話は十分見えます。 「モノクロ銀塩プリントワークショップ」は、要予約、有料、事前準備が必要であり、高ハードルの感がありますが、耳の聞こえないリピーターがいるほど、写真づくりの楽しさを知ることができ、写真の鑑賞を豊かに深められるきっかけになっています。

東京都写真美術館は6月2日より再開となりましたが、上記のギャラリートークも「モノクロ銀塩プリントワークショップ」もコロナ禍のあおりで中止しています。手話通訳付きのイベントの復活については東京都写真美術館のホームページをチェックして下さい。

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