寒さが増して来ていますが、皆さまにはお変わりありませんか。
今回は、神奈川県の茅ヶ崎市美術館の試みについてお話しします。
茅ヶ崎市美術館は人間の感覚、五感の面白さをアート的に体感する展覧会を度々開催しています。
現在、当館では昨年に「インクルーシブ(社会包摂)」をテーマの一つにして開催した「美術館まで(から)つづく道」において注目を集めた、視覚、触覚、聴覚、嗅覚から感じるMATHRAX(マスラックス)〔久世祥三+坂本茉里子〕による作品《うつしおみ》を12月6日まで展示中です。《うつしおみ》はさまざまな形の木製オブジェの触覚を楽しむとともに、触ると音が鳴り、光り、香りがたつ仕組みの体感型作品です。
もちろん、障がいのある無しに関係なく誰でも《うつしおみ》に触れることはできます。そして、聞こえない来館者にはどんな音が鳴るか、見えない来館者にはどのように光るか、を直喩的に記述したメモが用意されています。
《うつしおみ》に触れるには受付で「ビニール手袋」又は「布手袋」を受け取って手にはめてから触ってください。
聞こえない方はまずは、何の先入観もなしに《うつしおみ》を触ってみてください。時には《うつしおみ》の周りの空間もチェックしてみてください。《うつしおみ》を一巡しましたら、受付のスタッフに一声かけてメモを受け取ってひと読みすることをオススメします。そこから自分の体感によってイメージを膨らませてみてください。12月6日まで、無料です。
最近、各地の美術館で音を発するインスタレーション作品を展示するところが増えてきています。音が鳴っていることに気づかないままに素通りしてしまう、聞こえない方々もいるはずです。茅ヶ崎市美術館のメモのような形でも結構ですので、音が鳴る作品について「音」の部分の記述が聞こえない人たちの作品の鑑賞や理解を深められるものと確信しています。
茅ヶ崎市美術館の展覧会「ふれて すすむ まえへ -音と光と香りとともに-」
http://www.chigasaki-museum.jp/exhi/tomoiki/
MATHRAX
https://mathrax.com/