レポート

「あ、共感とかじゃなくて。」展で手話による解説動画を制作しました

東京都現代美術館/ 東京都

レポート詳細 投稿日:2023年09月09日

きびしい暑さも和らぎつつあるこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。

このたび、東京都現代美術館での展覧会「あ、共感とかじゃなくて。」展2023年11月5日まで開催中です。「自分以外の誰かの気持ちや経験などを理解する力」としての共感とはなにか、作品を通じて考えることをテーマにした展覧会です。思えば、わたしたちは生活のなかでいろんな人や出来事に共感したり、されたりしています。

この興味深い展覧会について、手話マップは美術館より依頼を受け、手話による動画を6点制作しました。

ひとつは、ステートメント(展示全体の考え方)を述べた動画を制作しており、展覧会の入り口で上映されています。また、この展覧会は5名の作家が展示をしているのですが、それぞれの作家ごとに解説動画をつけています。会場にQRコードが設置されており、スマートフォンで読み込むことでご覧いただけます。

東京都現代美術館より依頼をうけて制作をしましたが、その際に絵コンテの作成を行い、美術館にイメージが伝わるように工夫しています。また、手話にそった台本の確認など手話による表現ができるように取り組みました。

「あ、共感とかじゃなくて。」展をご担当されました、学芸員の八巻香澄さんよりコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。

東京都現代美術館では美術館紹介動画を手話マップに作っていただいた実績がありましたし、展覧会の内容や作品について具体的な解説が含まれるため、現代美術に詳しい木下さんとお仕事をしたいという理由から、手話マップに「あ、共感とかじゃなくて。」展の紹介動画の制作をお願いいたしました。展覧会開幕の5か月ほど前からお声がけし、3か月前から出演の戸田さん、小野寺さんに入っていただきました。
私からはまず原稿(会場内で掲示される解説パネルと同じ内容)をお送りしました。それを手話に翻訳したものを元に、冗長な部分を削除したりして、台本が固まりました。字幕の入る位置などを指定した絵コンテも作成いただきました。
展覧会の開幕後に撮影したので、展示室で作品を背景に「こちらが・・・」と示しながら撮影することになり、立ち位置や動きの微調整などを、小野寺さん、木下さん、そして手話通訳の瀬戸口さんが工夫してくださいました。おかげで臨場感のある、またバラエティに富んだ映像が作れたと思います。
そのかいあって、展示室内のモニターは、手話を理解しない人も含めて多くの人が目を留めて見てくれています。この展覧会には、「見知らぬ誰かのことを想像する展覧会」というキャッチコピーがついていますが、日常的に手話ユーザーに接する機会がない人にとって、手話ユーザーは「見知らぬ誰か」です。ここで手話ユーザー(しかも聴者の手話通訳ではなく、ろう者)の存在が示されていること自体にも、意味があると考えています。もちろん、手話ユーザーの方にも来館してもらっています。他の展覧会と比べて有意に多いのかどうかは、残念ながら統計がないので分かりませんが、展示室内で手話で話をしているお客さまを時折お見かけします。手話動画があることがウェルカムメッセージとして届いたのであれば、これほど嬉しいことはありません。

手話マップとしても東京都現代美術館と協働できたことをたいへん喜んでおります。また現在、ステートメントの再生回数が7000回を超えており、多くの方がご覧くださっていることをとてもうれしく思います。
展覧会のウェブサイトでも動画をすべてご覧いただけます。

ご高覧いただき、展覧会にもぜひお越しください!

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